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知的財産知恵袋 Mail Magagine Archive

【2015年4月24日 第24号】

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◆◇◆ 佐野国際特許事務所 メールマガジン ◆◇◆
2015年4月24日 第24号
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発信元:佐野国際特許事務所

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目次

◆◇ 特集 特許異議の申立て制度について ◇◆

 1.特許異議の申立て制度の概要

 2.特許異議の申立て制度の具体的内容

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◆◇ 特集 特許異議の申立て制度について ◇◆

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1.特許異議の申立て制度の概要

 さる、2015年4月1日に改正特許法が施行され、2003年に一旦廃止された特許
異議の申立て制度が、一部内容を変えて復活しました。
 特許異議の申立て制度は、特許付与後の一定期間に限り、広く第三者に特許
の見直しを求める機会を与え、申立てがあったときは、特許庁がその特許処分
の適否について審理し、その特許に瑕疵があるときは、その是正を図ることに
より、特許の早期安定化を図る制度です。
 なお、特許異議の申立て制度の復活に伴い、当事者間の争いにおいて特許の
有効性の点で争うことを主たる目的とする特許無効審判については、請求人適
格が、「何人も」から「利害関係人」に限られることとなりました。

2.特許異議の申立て制度の具体的内容

(1)特許異議申立人
 特許異議の申立ては、何人も行うことができます。自然人や法人以外に、法
人でない社団や財団で代表者又は管理人の定めがあるものでも可能です。つま
り、本人が名前を出したくないときには、第三者を申立人とすることができる
ということです。ただし、匿名で申立てをすることはできません。

(2)特許異議の申立て期間
 特許異議の申立ては、特許掲載公報の発行の日から6月以内に限り行うこと
ができます。なお、2015年4月1日以降に特許掲載公報が発行されたものが対象
となります。

(3)特許異議の申立ての理由
 特許異議の申立ての理由は、新規事項違反、外国人の権利享有違反、特許要
件違反、不特許事由違反、先願違反、条約違反、記載要件違反、外国語書面の
原文新規事項違反の公益的事由に限られます。
 例えば、冒認出願や共同出願違反等は、拒絶理由や特許無効の理由にはなり
ますが、特許異議の申立ての理由にはなりません。
 また、シフト補正や出願の単一性違反等は、拒絶理由にはなりますが、特許
異議の申立ての理由にはなりません。

(4)特許異議の申立ての方式
 特許異議の申立ては、特許異議申立書を特許庁長官に提出することにより行
います。この特許異議申立書には、特許異議申立人の氏名等、特許異議の申立
てに係る特許の表示、特許異議の申立ての理由及び必要な証拠の表示を記載す
る必要があります。なお、出願や審査請求のようなオンライン端末からの提出
はできないため、特許印紙を貼って、郵送又は直接特許庁へ提出する必要があ
ります。

(5)特許異議申立書の要旨変更補正
 特許異議申立書の要旨を変更する補正は原則として認められませんが、特許
異議の申立ての理由及び必要な証拠については、特許異議の申立て期間が経過
する時又は特許権者に対して取消理由の通知がある時のいずれか早い時までで
あれば、要旨を変更する補正も認められます。 

(6)特許異議の申立ての庁手数料
 特許異議の申立てを行う者は、1件につき16500円に請求項の数×2400円を
加えた額を特許庁に支払うこととなっています。特許無効審判の額より相当安
く設定されていますが、2003年以前の特許異議の申立てに比べると、2倍程度
の額が必要となっています。

(7)特許異議の申立ての審理方式
 特許異議の申立ての審理は、3人又は5人の審判官の合議体で行われ、全件書
面審理で行われます。

(8)職権審理
 特許権者や特許異議申立人が申し出ない理由についても、職権によって審理
されることがあります。 
 なお、特許異議の申立てがされていない請求項については、職権によって審
理されることはありません。  

(9)特許権者等の意見書提出の機会
 審判長が取消決定をしようとするときは、相当の期間(60日)を指定して、
特許権者及び参加人に対して意見書を提出する機会が与えられます。この意見
書を提出する機会は、取消決定がなされる前に2回与えられます。

(10)訂正請求
 特許権者は、意見書提出期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の
範囲又は図面の訂正を請求することができます。訂正の請求は請求項ごとにす
ることができます。意見書を提出する機会が2回与えられるため、訂正請求も2
回行うことができます。

(11)特許異議申立人の意見書の提出機会
 特許権者から訂正の請求があったときは、相当の期間(30日)を指定して、
特許異議申立人に対して意見書を提出する機会が与えられます。

(12)取消決定
 特許異議の申立てに係る特許を取り消すべき旨の決定が確定したときは、そ
の特許権は、初めから存在しなかったものとみなされます。すなわち、特許権
は取消決定の確定により遡及的に消滅することとなります。

(13)維持決定
 特許異議の申立てに係る特許が特許異議の申立ての理由に該当しないときは
、その特許を維持する決定がされます。その決定に対しては不服を申立てるこ
とはできません。なお、その決定に不服がある場合は、別途特許無効審判を請
求することで争うことはできます。

(14)一事不再理効
 特許異議の申立てに一事不再理はありません。すなわち、決定が確定した後
であっても特許異議申立人と同じ者が、同一証拠、同一理由で再度特許異議の
申立てを行うことは可能となっています。

(15)特許公報への掲載
 特許異議の申立て、特許異議の申立てについての確定した決定は、特許公報
に掲載されます。

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◆◇ 編集後記 ◇◆
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 弊所の近くの公園では、桜の花が散り、新緑が鮮やかになっています。気温
も上がってきて、過ごしやすい季節となりました。お昼休みにぶらぶらと散歩
などするのが気持ちの良い陽気です。
 皆様の会社やご自宅の周りの様子はいかがでしょうか。

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