メールマガジン


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◆◇◆ 佐野国際特許事務所 メールマガジン ◆◇◆
                                    2009年7月10日 第2号
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発信元:佐野国際特許事務所

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このメールマガジンは、弊所とお取引のあるお客様や、過去に名刺交換等を
させて頂いたお客様等を対象に送らせて頂く、無料のメールマガジンです。

知的財産に関する昨今の話題や、お客様の実務上お役に立つと思われる情報を
ピックアップして、月1回程度のペースで送らせて頂きます。

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目次

◆◇ 特集 平成20年改正特許法の概要と実務(その2) ◇◆

◆◇ セミナー、コンサル等のご案内 ◇◆

◆◇ 論文のご紹介 ◇◆

◆◇ 夏期休業のお知らせ ◇◆

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◆◇ 特集 平成20年改正特許法の概要と実務(その2)◇◆
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すでに皆様ご存じと思いますが、昨年(平成20年)の特許法改正により、
平成21年4月1日から日本の特許法が幾つか改正されました。

そこで、改正特許法の概要と、それに伴う実務上の留意点について、
数回にわたって解説させて頂きます。
今回は、特許出願の出願分割についてです。

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<出願分割の改正概要>

ご存じの通り、日本の特許法では、すでに出願済の特許出願の一部を抜き出し
て別の特許出願として継続させる「出願分割」という手法が規定されています
(特許法第44条)。

出願分割はいつでも行えるわけではなく、特許法で定められた時期にだけ
行うことができます。

ここで、日本の特許法上、出願分割を行うことができる時期は、分割元の特許
出願が出願されたのが平成19年4月1日より前か後かによって違っていました。
これは、平成18年の特許法改正により、分割可能なタイミングが改正された
ことによるものです。
具体的には、以下のように規定されていました。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
<場合1(今回の改正前)>
平成19年3月31日までにされた特許出願の分割可能な時期
(1-1)補正可能な時期、即ち、以下(a)〜(c)の期間
(a)出願から、最初の拒絶理由通知が来るまで
(b)拒絶理由通知が来た後の指定された期間内
(c)拒絶査定不服審判請求後、補正書提出可能な期間内
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
<場合2(今回の改正前)>
平成19年4月1日以降の特許出願の分割可能な時期
(2-1)補正可能な時期、即ち上記(a)〜(c)と同じ
(2-2)特許査定の謄本送達後30日以内(但し料金納付後は除く)
(2-3)拒絶査定の謄本送達後30日以内
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

この<場合1>と<場合2>の違いは、基本的には、今回の改正後も引き継がれ
ます。

ただし、前回のメールマガジンでもご紹介した通り、今回の改正において、
拒絶査定不服審判の請求可能な時期が「30日」から「3月」に変更になり、
また、拒絶査定不服審判時の補正書は、審判請求と同時でないと認められない
ことになりました(特許法第121条第1項、第17条の2第17条の2第1項四号)。

これにより、改正後の分割可能時期は以下のようになります。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
<場合1(今回の改正後)>
平成19年3月31日までにされた特許出願の分割可能な時期)
(3-1)補正可能な時期、即ち、以下(d)〜(f)の期間
(d)出願から、最初の拒絶理由通知が来るまで
(e)拒絶理由通知が来た後の指定された期間内
(f)拒絶査定不服審判請求時
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
<場合2(今回の改正後)>
平成19年4月1日以降の特許出願の分割可能な時期)
(4-1)補正可能な時期、即ち上記(d)〜(f)と同じ
(4-2)特許査定の謄本送達後30日以内(但し料金納付後は除く)
(4-3)拒絶査定の謄本送達後3月以内
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

文字だけだと何がどう変わったのか判りにくいので、以下、改正前と改正後を
図で対比しつつ、実務上の留意点を検証してみることにします。

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<改正前と改正後の対比:<場合1>編>

まずは上記<場合1>、つまり平成19年3月31日までにされた特許出願。

モデルケースとして、「特許出願」→「拒絶理由通知」→「拒絶査定」→
「拒絶査定不服審判」→「登録査定」→「設定登録」という流れを考えます。

分割可能時期は上記に準じて(a)〜(f)で示します。
特に「拒絶査定」〜「不服審判」の違いに注目して下さい。
図1
* 図がうまく表示されない場合、メーラを「等幅」設定にしてご覧下さい。*
(Outlook Expressの場合:「表示」→「文字のサイズ」→「等幅」)

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<実務上の留意点:<場合1>編>

留意すべきは、改正後は拒絶査定不服審判時の分割タイミングが非常に短く
なってしまう点です。

改正前は、拒絶査定不服審判を請求してから30日間分割可能でした(図1(1)の
(c)参照、特許法第17条の2第1項四号)。
同期間内であれば、たとえば審判請求書を提出した後に分割を行うような
こともできたわけです。

しかし、改正後は拒絶査定不服審判の請求と同時でないと分割はできなく
なってしまいます(図1(1)の(f)参照、特許法第17条の2第1項四号)。
審判請求したすぐ後で分割するようなことはできなくなってしまいました。

今後は、審判請求をする前に、分割すべきどうかを必ず検討する必要が
あります。

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<改正前と改正後の対比:<場合2>編>

次に上記<場合2>、つまり平成19年4月1日以降の特許出願。

モデルケースは(図1)に示したものと同じです。

分割可能時期は上記に準じて(a)〜(f),(4-2),(4-3)で示します。
これも、「拒絶査定」〜「不服審判」の違いに注目して下さい。
図2
* 図がうまく表示されない場合、メーラを「等幅」設定にしてご覧下さい。*
(Outlook Expressの場合:「表示」→「文字のサイズ」→「等幅」)

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<実務上の留意点:<場合2>編>

(留意点1)
改正後も、拒絶査定謄本送達後の分割可能期間(図2(1)の(4-3)に示す期間)、
登録査定後の分割可能期間(図2(2)の(4-2)に示す期間)は維持されます。

(留意点2)
拒絶査定時の分割においては、拒絶査定謄本送達後審判請求時まで(図2(1)の
(4-3)に示す期間)と審判請求時(図2(1)の(f)に示す期間)とで分割できる範囲
が異なります。

・[拒絶査定謄本送達後審判請求時まで]
→『分割直前』の特許請求の範囲、明細書、図面に記載された事項の範囲で
分割可能。

・[審判請求時]
→『出願当初』の特許請求の範囲、明細書、図面に記載された事項の範囲で
分割可能。

改正前は、図2(1)の(2-3)に示す期間と(c)に示す期間とで分割できる範囲が
異なりましたが、改正後も、やはり期間によって分割できる範囲は異なる
わけです。

少し具体的に考えてみます。

上記モデルケースにおいて、特許請求の範囲、明細書、図面(以下「明細書
等」記載。)に記載された内容が以下のようであったとします。

・出願当初の明細書等:「内容A」「内容B」「内容C」が記載。
・拒絶査定謄本送達時の明細書等:「内容A」「内容B」が記載。

このうち、「内容A」「内容B」は、出願当初にも拒絶査定謄本送達時にも
記載されています。
ですので、これらは[拒絶査定謄本送達後審判請求時まで][審判請求時]
のどちらの期間であっても出願分割が可能です。

一方、「内容C」は出願当初は記載がありますが、拒絶査定謄本送達時(つま
り分割直前)には記載がありません。
ですので、これは[審判請求時]でないと出願分割ができません。

従って、分割したい内容と分割直前の明細書等の記載内容とに応じ、出願
分割のタイミングを図る必要があることにご留意下さい。

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<改正法の適用対象>

上記改正は、平成21年4月1日(水)以降に査定の謄本が送達された出願が
適用対象となります。

上述の通り、今回の改正で変わったのは拒絶査定後の分割時期です。
『査定』というと『拒絶査定』と『登録査定』の2種類があるのですが、
今回の改正においては、特に平成21年4月1日以降に『拒絶査定』の謄本が
送達された出願において、改正前と取り扱いが違ってきます。

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<参考資料>

日本弁理士会 特許委員会公開フォーラム資料

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詳 細:内容の確認、申込みは下記URLからどうぞ
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また、上記(1)(2)に示すセミナーの詳細は、下記URLにてご確認下さい。
<セミナーのご案内>
http://www.sanopat.jp/seminar/index.htm

<知的創造力養成セミナー 一般公開>
http://www.tizai.sanopat.jp/index.html

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◆◇ 論文のご紹介 ◇◆
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弊所長谷川の執筆した論文が、下記の冊子に掲載されました。
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下記連絡先にて論文全文を入手可能ですので、ご興味がおありの方は
お問い合わせ下さいますようお願いいたします。

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論文タイトル:
「今こそ必要な研究開発戦略と知財戦略との連携
〜新たな知財戦略に当たっての戦術〜」

佐野国際特許事務所
知財創造研究室 室長
(社)発明協会知的財産アドバイザー
TOCICO認定ジョナ
TRIZコンサルタント
長谷川 公彦

掲載冊子:
TRIZレター(No.32)
5ページ〜10ページ

連絡先:
(学)産業能率大学TRIZセンター
TEL: 03-5758-5115
URL: http://www.hj.sanno.ac.jp/cgi-bin/WebObjects/107c2074456.woa/wa/read/107dfe17301/
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◆◇ 夏期休業のお知らせ ◇◆
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弊所では、下記の期間中夏期休業とさせて頂きます。
期間中なにかとご不便をおかけ致しますが、ご理解とご了承の程、お願い
致します。

夏期休業:2009年8月10日(月)〜14日(金)

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◆◇ 編集後記 ◇◆
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。
今回の特集は出願分割でしたが、現在の日本の出願分割は、「場合分け」が
あったりして、多少ややこしい制度になっているのが実情です。
今回の特集は、皆様が日々お感じになっているかもしれない「ややこしさ」を
少しでも解消するお手伝いができるといいな、と思いながら書きました。

7月に入りましたが、相変わらず元気のない世界経済とは対照的に、日本の
梅雨前線は元気一杯で、相変わらずうっとうしい天気が続いています(笑)。 こういう天候が続くのはいやなものですが、いやな天候の後だからこそ
梅雨明けがありがたく感じるのかもしれません。

梅雨明けの太陽のように日本経済が輝きを取り戻し、好景気のありがたみが
実感できる日が来ることを願ってやみません。
そんな日が一日も早く来るよう、弊所も所員一同日々頑張ってゆきます。

引き続き、今後ともよろしくお願いいたします。

なお、ご意見やご要望があれば遠慮なく、下記の「連絡先」までご連絡下さい。

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発信元:佐野国際特許事務所

〒104-0042
東京都中央区入船1丁目2番9号
八丁堀MFビル9階
TEL:03-3206-2731
FAX:03-3206-2732
E-mail: sanopat@sanopat.jp
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