メールマガジン


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◆◇◆ 佐野国際特許事務所 メールマガジン ◆◇◆
                                    2011年4月14日 第15号
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発信元:佐野国際特許事務所

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このメールマガジンは、弊所とお取引のあるお客様や、過去に名刺交換等を
させて頂いたお客様等を対象に送らせて頂く、無料のメールマガジンです。

知的財産に関する昨今の話題や、お客様の実務上お役に立つと思われる情報を
ピックアップして、送らせて頂きます。

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◆◇ 商号商標の取得について ◇◆

<<はじめに>>

 商号(社名)について商標登録は受けていますか?
  「商号は会社設立のときに商号登記している。
  だから商標登録は必要ない。」
 と考えているのでしたら、無用心としか言いようがありません。

 仮に、貴社の商号について他人が商標登録を受けてしまったら、差止・損害賠償の
 対象となってしまうのです。

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<<商号と商標の違い>>
 「商号?商標? どう違うのかが解らない。」
 当然の疑問です。

@商号とは?
 商号とは、商人がその営業上自己を表示するために用いる名称です。
 商号は、商法に規定されています。
 その趣旨は、自然人ではないため本来権利の主体になりえない団体を権利義務の
 享有主体に、その団体の名を特定するためです。
 株式会社等の場合、会社設立の際に商号を登記する義務があります。
 登記は、本店の所在地を管轄する法務局(法務省の地方支分部局)に対して行わ
 れます。(登記所とも呼ばれます。)

 商号は、原則として自由に選択できます。
 しかし、他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、所在場所も同一であるときは、
 登記することができません。

 また、不正の目的をもって、他の商人や他の会社であると誤認されるおそれのある
 名称又は商号を使用した場合、100万円以下の過料に処せられます。


A商標とは?
 商標とは、自己の商品・サービスと他人の商品・サービスとを識別するために用いる
 マークです。商標は、商標法に規定されています。
 その趣旨は、商標の使用により蓄積された業務上の信用の維持を図り、もって産業
 の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護するためです。
 商標登録は義務ではありませんが、商標を登録した場合、独占的に使用する権利
 及び他人が無権原で使用することを禁止することができます。
 商標登録のための出願は、特許庁(経済産業省管轄)に対して行われます。

 商標は、識別力の有無や他人の先願登録商標に抵触するか否かなど、登録要件を
 満たさなりません。

 また、権原無く他人の登録商標又はこれに類似する商標を指定商品等と同一又は
 これに類似する商品等に使用した場合、差止、損害賠償などの民事責任及び10年
 以下の懲役刑又は1000万円以下の罰金刑(法人に対しては3億円の罰金刑)といっ
 た刑事責任を負うこととなります。

B商号と商標の関係
 上記のように、商号と商標は別の概念です。
 従って、商号であっても識別標識として機能するものは商標として使用していることと
 なります。
 例えば、ホームページで会社の事業内容を宣伝している場合、左上に自社の商号を
 入れる例を良く見かけます。
 この商号の使用は、宣伝している商品・サービスとの関係で、商標としての使用とい
 うこととなります。

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<<終わりに>>

 上記のように、商号が自由に選択できてしまう以上、同一又は類似の商号を他社が
 登録を受けてしまうことを容易に想定できる問題です。
 そうなってしまった場合、冒頭でも述べたように、差止請求・損害賠償請求や刑事事
 件として裁判沙汰に発展しかねません。
 仮に、訴訟に勝つ見込みが強いものだとしても、裁判のために人や費用をさかなけ
 ればならなくなります。
 特に、平成17年の会社法の大改正に併せて、類似商号の登記制限が廃止され同
 一商号の登記制限の範囲を同一市町村から同一の所在場所へと緩和したことで
 上記の可能性が高まりました。
 極端な例を挙げれば、隣の建物に同じ商号(社名)の同業者が登記しても、使用し
 た場合は別として登記上は全く問題がないのです。

 また、インターネットの普及により広告効果を期待して、自社ホームページをより見
 やすくデザイン化し、さらには検索エンジンで上位に表示されるように努力したがた
 めに、逆に商標権利者に目をつけられてしまうという危険性が高まってしまいました。

 そのようなリスクを負わないためにも貴社の商号について商標登録出願をされること
 をお勧めいたします。


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◆◇ 編集後記 ◇◆
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 この度の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)で被害に遭われた方々に、
 心よりお見舞い申し上げます。

 東京は八丁堀、オフィスビルの9階にあります当事務所も、この度の震災において
 僅かながら被災しておりました。
 事務所内に保管されていた書類は全て床に散乱し、足の踏み場も無い状況となり、
 いくつかのパソコンは故障しました。
 その後の計画停電に伴う交通手段の混乱も原因となり、1日2日ですが業務が滞る
 こととなりました。
 東京ですらこの有様です。被災地の方々の状況を想うと、胸が張り裂ける想いです。

 あれから1ヶ月が経ちました。
 東京電力の福島原発の問題で、危機に対する対策が甘かったという評価をせざるを
 えません。では、自分たちはどうなのでしょう。
 被災した場合の準備はできていたのか、計画を実際に実行でき、十分に足りていた
 といえるか。
 リスクマネジメントが不足していたのではないか。
 BCP(Business Continuity Planning:事業継続計画)は?
 日本人全体として危機管理意識が低かったのではないでしょうか。

 知財も考え方は同様です。
 自社の発明や商標を権利化することで、第三者から攻撃された場合の予防を施して
 おく。 「小さい会社だから侵害事件で訴訟になることはまずないよ。」という意見を
 度々聞きますが、果たしてそれで大丈夫でしょうか。
 原子力発電所が被災する確率よりは、よっぽど高いと思いますがいかがでしょうか。

 それでは
 皆様、引き続き今後ともよろしくお願い致します。
 まだまだ大きい余震が続くとのことですので、くれぐれもお気をつけ下さい。

 ご意見やご要望があれば遠慮なく、下記の「連絡先」までご連絡下さい。

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発信元:佐野国際特許事務所

〒104-0042
東京都中央区入船1丁目2番9号
八丁堀MFビル9階
TEL:03-3206-2731
FAX:03-3206-2732
E-mail: sanopat@sanopat.jp
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